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自己満足の果てに・・・

オリジナルマンガや小説による、形状変化(食品化・平面化など)やソフトカニバリズムを主とした、創作サイトです。

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ネザーワールドクィーン 「終章」


 薄っすらと開いた俺の目に、一番最初に映ったものは……「白」。
 白い……天井? そして、右も左も白い壁……?
 どこなんだ…ここは?
「ここは病院だよ、倫人ちゃん。それにしても良かったぁ~! やっと目が覚めてくれたわね? 二日間も眠り続けていたから、心配しちゃったわよ~ぉ!」
 そう言って話しかけてくる聞きなれた声。
「叔母さん……? 病院って、俺は…どうしたんだ?」
「倫人ちゃんが飛び出して行った…あの日。あの塾の近辺では原因不明の災害があったらしく、大勢の被災者が出たらしいの。」
「原因不明の……災害…?」
「ええ。近辺の建物は崩壊……。火災もあったらしいわ。でも、地震が計測されたわけでも無いし、隕石が落ちてきたわけでも無さそう。 一説では、怪しげな新興宗教団体の科学実験があったとも言われているわ。」
 な、なんだ…それは? 何が…どうなってる……!?
「でも、倒れていた人は全員、病院へ搬送されたらしいわよ。そして、倫人ちゃんもその一人ってこと!」
 俺も……?
 いや、俺は化け物と戦って……って?
 ……って、あれ!?
 俺は自身の全身を隈なく触ってみたが、化け物と戦って受けた傷が一つも無い。思いっきり叩きつけられて、出血多量と感じた背中も……痛みすら無い?
 まさか、アレは夢だったのか?
 だとしたら、麻奈美は…? 麻奈美も無事だったのか?
 俺の慌てふためきに、叔母さんは目を丸くして見つめていたが、
「大丈夫よ。麻奈美ちゃんも無事に保護されて、この病院で治療を受けているわよ!」
 と、ニッコリ微笑んだ。
「ホント倫人ちゃんって、日頃何に関しても平静を装っているくせに、麻奈美ちゃんの事になると、すぐにボロが出るんだから。ま、それだけ意識しているってことかしら~ぁ?」
 そう言う叔母さんの顔は、微笑みから意地の悪そうなドヤ顔にレベルアップ! なんか、すげぇ~っムカつくぜ。
 まぁ…でも、麻奈美は無事だったのか? なんにしても良かった!
「それじゃ、あたしは先生と今後の話をしてくるけど……。そうそう、そう言えば王女ちゃんの執事の人が来ていて、倫人ちゃんに会いたがっていたわよ。」
 執事……?
「そう。まだ病院内にいると思うから、呼んでくるわね!」
 叔母さんはそう言うと、テクテクと急ぎ足で病室から出ていった。
 そして、それと入れ替わりに入って来たのが、一人の若い男。
「こんにちわ、倫人さん。」
 歳の頃は20代前半ばくらい。細身でスラリとしたモデル体型。ニコニコした笑顔に合わせたような、細い糸目。

ネザーワールドクィーン 一話15

 ああ、コイツか……。
 たしか冥界ニブルヘイムで出会い、それ以後…王女の下宿代を払いに来たのもコイツだった。名をたしか、ガンガン…ジー?とか言っていたかな?
「いいえ、『ガングラティ』です。どこかの特撮ドラマのキャラクターではありませんので。」
 それは、白い歯がキラリと輝きそうなくらいの爽やかな笑顔。モテない男の悲しい習性だな。こういったイケメン野郎の爽やかな笑顔ほど、虫唾が走ることはないぜ!
「そう言わないでくださいよ。それよりも今回の事は、本当に深く感謝しております。」
「感謝……?」
「はい。貴方があのタラスクを引き付けていてくれたお陰で、王女はなんとか復活でき、術を発動させる時間を稼ぐことができました。」
 俺がタラスクを引き付けていた……? ってことは、やはり俺は、あの化け物と戦っていたんだな!?
「ええ、もちろんです! 本当に勇敢でしたよ。貴方があそこまで頑張ってくださったお陰で、被害が最小限に防げたと言っても過言ではありません。」

 この男……ガングラティの話はこうだった。 
 あの時、カイーブから奪い取ったモトモトパウダーを王女に振り掛けた後。ペチャンコに潰された王女は、脚を失ったままであったが、なんとか術を繰り出せる程度まで回復したようだ。
 そして復活した王女は、再び『冥道開通』の術を起動させた。
 前にも言ったが、冥道開通とは人間界(ミッドガルド)と冥界(ニブルヘイム)という二つの世界を一時的に連結させ、その場で行き来出来る様にするという……難易度の超高い大技。
 今度は、全ての注意が俺に向いていたため、発動するまでの時間を十分に稼げたらしい。
 二つの世界が繋がると、王女はもう一つの秘術……『ドラウグル兵団』を召喚させた。
 ん……? ドラウグル兵団!?
「ええ。ニブルヘイムの『死人』たちで構成された軍団ですが、並みの死人の軍団ではありません。元バイキングや傭兵などといった歴戦の兵(つわもの)たちの死人が中心となった、総勢数万人にも及ぶ…天上界にも最も恐れられた兵団なのです。」

ネザーワールドクィーン 一話14b

 そう。あの時俺が見た、化け物(タラスク)に群がる無数の何か…とは、数万人にも及ぶ死人兵の大群(ドラウグル兵団)だったのだ。
 さすがにあの化け物(タラスク)も、それほどの大群相手では成す術のなかっただろう。
 なにしろ、ただでさえ歴戦の兵たちが数万と集まっているのに、そいつ等は既に死人であるため、どれだけ叩きつけようが…踏み潰そうが、再び起き上がって攻撃をしてくるのだからな。
 そのタラスクが倒れた後は、モトモトパウダーを使って箱化された女の子たちを元に戻していったらしいが。
 でも、麻奈美もそうなのか? 麻奈美はただの変化ではなく、魂を抜き取られていたのだが……?
「麻奈美さん? ああ、あの人形とカードにされた少女ですね! ご安心ください。彼女なら、王女が直接元の姿に戻しました。」
 戻しました……って、王女はそんな術も使えるのか!?
「冥界(ニブルヘイム)で、長きにわたって霊魂を相手になさって来たお方です。魂の扱いは、誰よりもお手の物です!」
 さすが、冥界の王女(女王)だぜ。
 俺なんか息巻いて戦った割には、無様に敗北して足を引っ張っちまったからな。
「いえ。相手は、あのS級モンスター…リヴァイアサンの子です。生身の人間が、たった一人であそこまで戦ったこと自体が、奇跡に近い事ですよ。そうそう!戦いで受けた傷は、冥界の治癒魔法を施させていただきました。傷跡も痛みも残っていないはずです。それと魔剣(ティルフィング)による呪いですが……」
 それだ!
 化け物に受けた傷だけでなく、むしろ…その呪い方が致命的だったはずだが?
「あの剣の呪いの原理は…実の所まだ解明は出来ていないのですが、災いを起こす事で、使い手の魂の中にあるエネルギーのようなものを、吸収している節があるようです。」
「魂を…喰うようなものか?」
「それに近いものなんでしょうね? ですから、魂の中のエネルギーを補充してやれば、なんとか…その場は凌げるという事も解りました。」
 なんか、ガソリンを補給さえすれば良いような言い方をするなよ! そんな安っぽいものじゃねぇーだろ、魂のエネルギーっていうのは!? 
 ……って、ちょっと待て! 今の俺の魂のエネルギーって!?
「はい。王女の『魔力』です。今の貴方の魂は王女の魂の約半分ですから、当然…そのエネルギーも、王女の物を分け与えなければいけないのでしょう。」
 俺は、また…あの人の命の一部を頂いて生き延びたのか?
 麻奈美の事といい……、そして……この俺。王女には、助けてもらってばかりだぜ。
「その事ですが……。これは、あくまで僕の想像ですが、おそらく王女も同じ気持ちを抱いていると思います。」
「どういうことだ?」
「先程も言いましたが、もし…貴方がタラスクやスヴァルトアルヴヘイムの者たちを相手にしてくれなかったら、王女も無事では無かった可能性があります。」
 しかし、元々…俺の様子さえ見に来なければ、こんな事に巻き込まれることも無かった……。
「そうかも知れませんね。でも、貴方もご存知の通り、王女はああ見えても好奇心旺盛なところがあります。何のきっかけで何に巻き込まれるか? 正直、判ったものではありません。それに……」
「それに……?」
「貴方が今でも引け目を感じている……あのニブルヘイムの件も、あのとき、貴方は王女を守ろうとした結果、ああなってしまった。それは貴方の罪ではありません。ですから、王女が魂を分け与えたのも、そんな貴方への感謝の表れだと思います。」
 そう言ってくれるのはありがたいが、あの子どものような姿を見ると、素直に喜びにくいな。
「でしたら、僕からのお願いを聞いて頂けないでしょうか?」
「お願い……?」
「ハイ。王女はミッドガルド……特に、この日本の神田川県という地を大変気に入っていらっしゃるようで、しばらくは行ったり来たり、もしくは居つく可能性が充分にあります。」
「居つく……って、大丈夫なのかよ…冥界の方は!? たしか、死者の裁きとかしなきゃいけないんだろう?」
「ええ。貴方の仰る通り本当は大変困るのですが、あの方の我がままは今に始まったことではありません。その分は僕が穴埋めするしかないでしょうね。ですので……」
「うん?」
「こちら(ミッドガルド)での王女の守りを、貴方にお願いしてもよろしいでしょうか?」
 俺が、王女を守る……!?
「はい。王女は貴方の事を心から信頼していらっしゃいます。そして、それは僕自身も……。」
 それは買い被りすぎだぜ。ぶっちゃけ言って、また足を引っ張るのがオチだぜ。それを覚悟して言っているのか?
 そう思った矢先だ!
「倫人さん。今、王女の世話をしているメイドから、魔法による連絡が入って来ているのですが……。王女は、まだ脚が完全じゃないのにミッドガルドにやって来て、人間を襲っていた暗黒妖精らしき者と、トラブルに巻き込まれているようです。」
 オィ…オィ! またかよっ!?
「なんでも、人間をケーキ化する者らしく……、えっ!? 王女もケーキになりかけているですって!?」
 それを聞いた瞬間、俺は布団を蹴り上げ……ベットから飛び起きていた。そして、すぐさま服に着替え、部屋を飛び出そうとしたとき、丁度叔母さんが入って来た。
「倫人ちゃん。今…先生と話してきたんだけど、退院は明日と明後日のどっちがいい?」
「それじゃ~っ…急用が出来たので、今すぐの退院でお願いします!!」
 俺はそう言って部屋を飛び出したが、おっと一つ二つ…言い忘れた!

「出来れば麻奈美の退院と、それと……一番大事な事! キラリン大福の用意。俺と…王女の分、よろしくお願いいたします!!」


 おわり


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| ネザーワールドクィーン | 16:09 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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