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自己満足の果てに・・・

オリジナルマンガや小説による、形状変化(食品化・平面化など)やソフトカニバリズムを主とした、創作サイトです。

2014年01月 | ARCHIVE-SELECT | 2014年03月

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妖魔狩人 若三毛凛 if 第10話「凛のために・・ -前編-」

―高嶺優里……、凛がまるで歯が立たなかった相手を一方的に……―
 優里の高い戦闘力を間近で見た金鵄は、驚愕で声も出なかった。
「あ…あれは、麒麟の力を受け継いだからなのかい!?」
 側にいたセコに尋ねられずにはいられなかった。
 金鵄の問いにセコは静かに首を振ると、こう答えた。
「たしかに麒麟の力を受け継いではいますが、それだけではありません。むしろ彼女自身の基本能力が高いが上に、麒麟の力を使いこなせていると言ったほうがいいでしょう」


 高嶺優里、6月30日生・・・私立大生堀高校三年生17歳。
 父拓海、母美咲の間に長女として産まれる。その頃はまだ普通の子どもだったが、四歳の頃、愛犬コロが亡くなった事がきっかけに、ある能力が目覚める。
 それは霊や物の怪といった類の妖気を感じ取る能力。
 愛犬コロを失った三日後に、彼女はコロの霊を見たのが始まりだった。
 以後、様々な霊や妖気を感じ取る事ができるが、大人たちは愛犬を亡くした悲しみからくる幻覚だと、相手にしなかった。
 この経験があったからこそ、誰も信じない凛の霊体験話を真剣に受け止め、心の支えになる事ができたのであろう。
 両親は共働きで家に一人で居ることが多かった優里に、近所に住む老女、園部秀子はよく自宅に招き入れ話し相手になったり、薙刀の指導を行ったりした。
 秀子は古武術北真華鳥流の元師範で、全国でも指折りの薙刀使いだった。
 北真華鳥流は戦国時代から続く流派で、対真剣・対槍など実戦向けの流派。
 厳しい指導だったが、優里は薙刀にのめり込み日々実力を付けていった。
 優里が中学二年生の頃、秀子は伝手を生かし、当時の全国高校なぎなた大会優勝者と練習試合を設けた。
 結果は優里の圧勝だった。この結果は非公式のため記録には残っていないし、対戦流派の希望から、口外もされなかった。
 秀子は機会が有る度に、優里に他流派試合をさせた。こうして優里はより一層実戦型の実力を上げていった。
 そんな秀子も優里が高校へ進学する前に息を引き取った。
 優里は神田川県で数少ない『なぎなた部』のある進学校、県立丘福高校へ入学した。
 学力でも運動能力でも秀でた優里は、校内でも注目の的であった。
 特に入部した『なぎなた部』では、その突出した実力で、一年生であるにも関わらず、レギュラーに選出された。
 この事が事件の発端になった。
 それまでレギュラーだった三年生の一人が優里に嫉妬し、他の部員と共に一年生イビリを始めたのだ。
 優里たちがイビリに耐えれば耐える程より過激になり、ついには一年生の中から怪我人が出てしまった。
 大きな怪我では無かったが精神的傷ついた同級生の姿は、優里の怒りに火をつけるには十分だった。
 たった数分の出来事だった。
 木製の薙刀を手にした優里の足元には、怪我を追った数人の上級生達が倒れていた。
 練習中の事故と言うことで扱うようになったが、この事件は優里の退部を余儀なくされた。
 更に怪我をした上級生の一人に、県会議員の姪がいた。
 県会議員はこの事件を、優里の起こした校内暴力として対応するように、県教育委員会へ連絡させた。
 そのため、通っていた丘福高はもちろん、地元の柚子中学校を通じて村民からも、優里に対する視線や対応が変わった。
 この一件で優里は弁解することもできず、私立高校へ転校していった。

 その後は薙刀を封じ、学問優先の高校生活を送っていたのだが、約一月前、突然豹変した美咲に彼女の近況は一転した。
 気を失っていたため事件の経緯はよく覚えていない。しかし、元には戻ったものの、間違いなく美咲は獣のようになり、そして事件解決に凛が絡んでいる。
 その後もいくつかの事件が村で発生した。
 後を追っていくと、そこには殆ど凛が絡んでいる。
 事実を確認しようと思ったその時だった、子ども姿の妖怪セコに出会ったのは。
 セコは封印されている麒麟の祠に案内し、全てを優里に話した。
 妖木妃の事、妖樹からの妖怪化。そしてそれを食い止めている凛の事。
 話を聞き、凶悪な妖怪との戦いになると知りつつも、優里は戦う事を決意した。
 そして麒麟は復活後すぐに、残る力の全てを優里に譲り託したのだ。

 セコから優里の経緯を聞いた金鵄は、優里の強さの秘密を改めて実感した。


 手長足長との戦いから二日後。
「春人、また荷物が届いているわよー!」
 下から響く母の声に、春人は階段を駆け下りると、玄関先で荷物を受け取った。
 大切そうに荷物を持って部屋へ戻ると、丁寧に荷を開け中から箱を取り出した。
 箱には『閃光のナスア』と表示され、透明の硬質ビニールからアニメ風の美少女の顔が見える。
 春人は箱から美少女を抜き出し、机に立てかけた。
 それは、30㎝ほどのアニメ美少女のフィギュアであった。
「やっぱ、戦う美少女って萌えるよな~っ!」
 春人はそう呟くとフィギュアのスカートの中を何度も覗き込んだ。
 西村春人、丘福市南区在住、県内の国立大学に通っている。
「そう言えば、うちの高校の後輩にもいたよな……、すごく強い美少女が!!」
 そう言って携帯を手に取り、画像を映し出す。
 そこには、カメラとは全然別の方向に視線を送っている、山吹色の髪をした美少女が写っている。
 そう……それは、優里だった。
「なぎなた部に入部したこの子。強くて勉強ができて、それでいて最高に可愛い。まさか、現実にこんなアニメみたいな美少女がいたなんて~♪」
 鼻の下を伸ばし、想いに耽る。
「でも、1年のうちに転校してしまって……。ああ~っ…会いたいな!いや、本物でなくてもいい、この子のフィギュア!いや……着せ替え人形が欲しい!!」
 居ても立ってもいられなくなった春人はパソコンに向かうと、在学していた高校の友人や、あの事件をネット検索などで調べ上げ、優里が由子村立中学校出身であることを突き止めた。
「柚子村か……、JRで途中乗り換えれば、そう遠くはないな……。」
 ネットで路線を確認すると、翌日村へ向かう事を決意した。
 

 
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 今回はいつもより、かなり長めになっております。ww
引き続き、下のスレ「中編」を御覧ください。

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| 妖魔狩人 若三毛凛 if | 13:42 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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妖魔狩人 若三毛凛 if 第10話「凛のために・・ -中編-」

 翌日、朝一番で家を出て、JRに乗り込み志津香駅で乗り換えると、一時間半位で柚子駅に辿り着いた。
 まずは柚子村立中学校へ向かってみることにする。その近辺で聞けば、ある程度の住まいはわかるだろう。
 比較的、都会と呼ばれる丘福市と違って、山々に囲まれた柚子村。
 春人には草の一本一本でも、珍しい景色であった。
 フト、背筋に氷の塊を押し付けられるような感覚を受けた春人は、その辺りを見回した。
 木々が覆い茂った森。よく見ると、そこだけ土砂崩れでもあったのかと思える程、木々が押し倒され荒れ果てた地があった。
 ゆっくり足を向けると、奥の方に拝殿のような櫓(やぐら)が見える。
「神社……?」
 何かに引き寄せられるように足を踏み入れと……
「なにか、御用かな?」
 まるで待ち構えていたかのように絶妙のタイミングで声を掛けらた。
「すまぬ、驚かせてしまったようだな」
 色の白い長身長髪の男が姿を見せた。
「身共は、この社の神主をしている。汝……この土地の者では無いな?」
「は…はい、ちょっと人を訪ねて……」
 春人はそう言って、携帯の画像を見せた。
「ふむ、たしかにこの娘はこの土地に住む者だった気がする。だが、どこで暮らしているかまでは、身共も存じていない」
「そうですか……、どうもありがとうございました」
 春人はそう言って踵を返した。
「待ちなさい!」
「えっ……!?」
「汝、心の中に秘めた想い……願い事のようなものを感じる。そうだろう?」
「え……、は…はい?」
 春人がそう答えると、神主は懐から何かを取り出すと
「これを飲むが良い、この社の神木から採れた種だ」
 そう言って小さな木の種を差し出した。
 春人は言葉の意味を理解できないまま受け取る。
「心配ない、元々食用の種で身体に害はない。今、ここで一飲みせよ」
「はぁ……」
 とても断りきれない空気と感じた春人は、言われるまま種を口に放り込み、一気に飲みこんだ。
 「じゃ…これで」
 さっさと中学へ行って、優里の家を探そう。その想いが足早にその場を立ち去ろうとさせた。
 だが……
「ああっ!!」
 いきなり全身に激痛が走った。体中の筋という筋が引き裂かれる、そんな激痛だ。
 あまりの痛みにその場にうずくまる春人。
 すると両足から、まるで蛇の尾のような細長い物がニョロニョロと生え出しきた。
「な…なんだ……!?」
 足から生えてきた細長い物は、そのまま足元の地を突き刺し、奥へ奥へと進んでいく。
 腕からは、細い木の枝のような物が生え、葉を茂らせながら伸びていく。
「た…すけ……て……」
 数分後、春人がうずくまったその場所には、若葉を茂らせた一本の木が立っていた。
「白陰、何故その者を妖樹化させたのじゃ?」
 事が済むと同時に、一人の老婆が姿をみせた。
 緑色の肌、ギョロっとした大きな目。嫦娥だ。
「この人間から面白そうな欲望を感じたのでな。転生したら変わった能力を持つ妖怪になるだろうて」
 神主…いや白陰は、そう言ってニヤリと笑った。


 それから三日後。
「もう……通学が大変っ! 部活やってたら、こんな田舎から通えないよぉーっ!!」
 日も暮れ、暗い農道を自転車で走る女子高校生。
 体育会系の部活をやっているのだろうか、長い髪を後ろで一つに括っている。
「なんとか、丘福市で暮らせないかな……?」
 そう呟いた瞬間。
 シュルルル……、何かが首に巻き付いてきた。
「きゃ…………」
 まともに声も出せず、その場で自転車ごと引き倒される。
「な……?」
 暗くてよく見えないが、手触りで判断すると、植物のツタのような物が巻き付いている。
 必死で引き剥がそうとするが、
 シュルルル……
 だが、更に両足、胴にもツタは巻き付いてきた。
 藻掻き苦しむが、ツタは外れるどころがドンドン身体に巻き付いていく。
 数分後、彼女の身体は完全にツタで覆われ、ピクリとも動かない。
 動かなくなったのを見定めると、一人の影が現れた。
 それは三日前、白隠に妖樹化されたはずの春人だ。
 腕から数十本のツタが生え、彼女を覆ったツタに繋がっている。
 腕を払うように軽く振ると、全てのツタは春人の腕に引き戻されていった。
 すると、足元に小さな物体が転がり落ちている。
 拾い上げ確認すると、長さ30㎝程のそれは人の形をしており、後頭部は長い髪を一括りにしてある。そう、それはあの女子高生に瓜二つの人形だった。

妖魔狩人 若三毛凛 if 第十話(1)

 妖怪化した春人の妖力、それは人間を人形に変えること。
 春人は頭の先から足先、そしてスカートを捲し上げ中を覗き込むと
「うん、まずまずの出来だ! やはり人形は着せ替え人形に限るね」
 そう言って、嬉しそうに微笑んだ。
「早くこの手で、高嶺優里を人形にしたい……」

 村の女子高生や若い女性が二~三人、行方不明になっていると凛の耳に入ったのは、更に三日後であった。
 セコ、金鵄を通して入ったその情報は、どうやら柚子駅から柚子中学校までの、人通りの少ない場所で起きているらしい。
 放課後、部活を休み足早に校門を飛び出した凛を、千佳が引き止めるように声を掛けた。
「凛、部活休むなら、途中までウチと一緒に帰らん?」
「ごめん千佳、大事な用があって急ぐの」
「そう……、引き止めてごめん」
 まるで叱られた子犬のように、しょぼくれる千佳に対し、凛は優しく微笑むと
「今度、一緒に帰ろう!」
 そう言って、走り去っていった。

 まずは中学から駅までの間で、比較的人通りの少ない農道を中心に当たることにした。
「セコの話だと、事件が起こった場所には、半妖の気が残っているらしい」
 金鵄は気配を探りながら、農道に沿って飛び回る。
「半妖……、千佳や美咲おばさんのように、妖怪化された人間の可能性があるって事?」
「そうだ、つまり中国妖怪の仕業である可能性が強い」
 凛たちは、そう話しながら妖気を頼りに辺りを調べまわった。
 日も暮れかかり、辺りが薄暗くなったその時、
「金鵄……!?」
「うん!」
 強烈な妖気を感じ取った。
 同時に数本のツタが凛に襲いかかる。
 凛は飛び避けるように攻撃をかわすと、直ぐ様、霊装し戦闘体勢に入る。
「おおっ!戦う少女~っ!? いいねぇーっ!!」
 ツタを引き戻しながら、春人が姿を見せる。
「小学生……? いや、さっきまで制服を着ていたから、女子中学生か。でも、今着ているそのミニスカ戦闘服、カッコイイねぇ~♪」
 凛を凝視しながら春人は、気持ちを高揚させていく。
「あなたが女性たちを襲った妖怪?」
 凛はそう言って、弓を構えた。
「襲った…? 人聞きの悪い」
 春人はそう言うと、懐から三体の人形を取り出した。
「彼女たちは僕の人形となったことで、毎日着飾る事ができ、幸せを満喫しているはずさ」
「に…人間を、人形に……!?」
「君も僕の人形になりな! そうすれば、毎日色々な服が着られるよ!」
 再び春人の両腕から数十本のツタが飛び出し、凛へ襲いかかる。
 凛は弦を引き、矢を放った。
 青白い光を放つ霊光矢は、襲いかかるツタを一撃で消滅させる。
「な…なんだ、この子は……!?」
 霊光矢の威力に思わず怯む、春人。
 しかし一体の人形を高々と持ち上げると、
「この人形は、今でも生きているんだ。もちろん僕が術を解けば、人間に戻す事ができる」
「……?」
「つまり人形が死と同じ状況に陥れば、当然……人間としての命も尽きる」
 春人は農道沿いの用水路に目をやると
「人形も、溺死するのかな?」
 そう言って、手にした人形を放り投げた。
「やめ……!!」
 とっさに人形を追って、用水路に飛び込む凛。
 手探りで人形を拾い上げ、安堵のため息をついた瞬間、
「あっ!!?」
 背後からツタが全身に巻き付いた。
「凛ーっ!!」
 金鵄の叫びも虚しく、徐々に小さくなっていく凛の身体。
 春人がツタを引き戻すと、その手には30㎝にも満たない人形となった凛の姿があった。
 サイドテールもゴスロリ戦闘服もそのままだが、瞳は一点を直視しピクリとも動かない。

妖魔狩人 若三毛凛 if 第十話(2)

「可愛いね~っ、戦う美少女の着せ替え人形!」
 頭の先から足先まで舐めるように眺めると、その指は例のごとくスカートを捲り上げた。
「短パン?」
 スカートの中の黒い短パンを摘み、そのまま引き下ろそうとするが、なかなか引き下ろせない。
「あ……、これスカートと一体型のスカパンってやつか?」
 そう呟き、スカートを引き下ろそうとした。
 その時!!
「その手を放しなさい!」
 鋭く突き刺さるような声が、背後から掛けられた。
 振り返ると、最初に目に入ったのは、鋭い刃。
 そして、その刃のついた長い獲物を手にし、白く軽装な鎧を身につけた、山吹色の髪をなびかせる少女。
「高嶺……優里……ちゃん……?」
 今まさに、春人の想い人がそこに立っている。しかも春人の趣味に合わせたような戦闘服を身につけて。
「なぜ私の名を知っているのか解りませんが、まずその手にした人形を渡してください」
 突き刺さるような眼光が、春人の視線を貫く。
「いいね!いいね!いいね!いいね!いいね!いいね!いいね!いいね!いいね!いいね!いいね!いいね!」
 春人が雄叫びのような絶叫を上げた。
「その姿の君が人形になれば、こんな子どもの人形は、二の次だ!!」
 春人は人形となった凛を放り投げると、空かさず数十本のツタで襲いかかる。
 一振り!
 たった一振り薙刀を振り払うだけで、ツタは切り落とされる。
 二撃、三撃と襲いかかるが、優里にはまるで通じない。
 そして一気に間合いを詰めた優里の刃が、春人の眼前に迫った。
 実力の差は、一目瞭然だった。
 腰が抜け、その場に座り込む春人。
「ま…待ってくれ、僕を殺すと……、さっきの子も……他の人形になった子も……、元に戻らないよ……」
 それを聞いた優里の眉が、僅かに動く。
 その瞬間を見逃さなかった春人は追い打ちをかけるように、
「ど…どうだ!? 君が僕の人形になれば、さっきの子を含め……全ての子を元に戻そうじゃないか……」
 …と、申し立てた。
 無言で冷ややかな視線を送る、優里。

 その様子を見ていた金鵄。
「やはり、優里の戦闘力は群を抜いている。あの妖怪を間違いなく討ち取る事ができるだろう。
 だが、そうなるとあの術だ。おそらく、あの術は呪術系の妖術。術を解くには、ヤツの言葉通り……ヤツでなければ解けないだろう。
 つまりヤツをこのまま討ち取れば、凛もその他の娘たちも元には戻らない。
 どうする……優里!?」


どうする?
 ① 耳を貸さず、春人を討ち取る。
 ② 身代わりになって、凛を救う。


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『-後編-』へ続く。

そのまま、下のスレをご覧ください。

| 妖魔狩人 若三毛凛 if | 13:29 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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妖魔狩人 若三毛凛 if 第10話「凛のために・・ -後編-」

① 耳を貸さず、春人を討ち取る。


「保証……できるのですか?」
「えっ!?」
「私が人形になれば、凛ちゃんやその他の女性たちが、元に戻れるという保証はあるのですか?」
「や…約束は、守るよ……」
「信用できませんね」
 優里はそう言うと、薙刀を頭上高く振り上げた。
「妖怪である貴方の事、私を人形にした後……凛ちゃんたちも、そのまま持ち帰る可能性があります」
―ギクッ……!―
「それに、仮に一旦は戻したとしても、また多くの人々を人形に変えていく恐れがありますよね」
「そ…それは……」
「だったら、ここは凛ちゃんたちを犠牲にしてでも、貴方を討ち取った方が、村や多くの人々のため!」
 優里の目に殺気が篭もる。

妖魔狩人 若三毛凛 if 第十話(3)

「覚悟してください!」
 そう言って、薙刀を一気に振り下ろした!!
「わ……わ……わ……わかったぁぁぁぁぁっ!!」
 再度、待ったをかける春人。
「今すぐ……今すぐ、あの子を元に戻す!!」
 春人は大慌てでツタを伸ばし、人形の凛を包み込んだ。
 薄い光がツタごと包み込む。
 すると光は徐々に大きくなり、やがて人の形になると、そこには元の姿の凛が。
 キョトンとして周りを確かめる凛。
「優里……お姉さん……?」
 その言葉に優しく微笑む、優里。
 たしかに元に戻っている。
「な…! な…! 元に戻しただろう! だから、助けてくれ!!」
 春人は必死に懇願した。
「まだ他の女性たちが戻っていませんよ」
 優里は強い視線で返す。
「わかった……、わかったよ……」
 春人は更に数本のツタを伸ばすと、同じように三体の人形を包んだ。
 そして髪を括った女子高生も、他の女子高生や女性も、元の姿に戻った。
「これで全部だ! なっ、約束は守っただろう? だから、助けてくれ」
 優里は女性たちを確認すると
「たしかに。では私も貴方に手をだすのを止めます」
 そう言って、薙刀を手放した。
「じゃ……じゃあ! 約束通り、君を人形にするよぉぉ!!!!」
 春人は打って変わったようにツタを伸ばすと、優里の身体に巻き付けていく。
 その時……
「凛ちゃん、今よっ!! 妖怪を撃ちなさい!!」
 優里が叫んだ!
「は……はいっ!?」
 一瞬呆然とした凛だが、直ぐ様我に返り、春人に向かって霊光矢を放った!
 青白い閃光が一直線に飛び、春人の胸に突き刺さる。
「そ…そんな……、ずるく……ね…?」
 呆然とした表情のまま、春人は青白い光の粒に包まれていく。
 優里に巻き付いたツタも消え去り、春人は普通の人間の姿に戻っていく。
 気を失って倒れている春人を確認すると、優里は凛の下に歩み寄る。
 そして優しく凛の頭を撫でると
「ありがとう凛ちゃん、よくやってくれたわ」
 と声を掛けた。
 優里の言葉に頬を赤く染めた凛。そして
「い……いえ、わたしこそ、ありがとうございます……」
 と照れながら、返した。
「ところで、彼女たちはどうする?」
 気を失って倒れている三人の女性や春人を見て、金鵄が尋ねた。
「すぐに警察に連絡して、保護してもらいましょう。これから先は私達は関わらないほうがいいと思います」
 優里のきっぱりした返事に、凛も頷いた。
「それと、あの妖怪化した青年の記憶は大丈夫なんだろうか?」
 金鵄は更に付け加えるように尋ねる。
「うちの母もそうでしたけど、凛ちゃんの浄化の矢は、姿形を元に戻すだけでなく、妖力も……、そしてその間の記憶も消し去るみたいです。だから大丈夫でしょう」
「なるほど、改めて凛の霊力は凄いね・・・」
 金鵄は感心したように呟いた。
「だから私は、凛ちゃんのその力に賭けたんです」
 予想もしない優里の言葉に、金鵄は思い出したように尋ねた。
「そう言えば、優里は本気であの妖怪を討ち取る気だったのかい?」
 金鵄の問いに静かに首を振ると
「あの場面、凛ちゃんならどんな結果を望むかな?…って考えたんです」
「凛……なら?」
「ええ、凛ちゃんならきっと、女性たちを全て元に戻し、尚且つ妖怪化した彼を人間に戻して、一人の犠牲も出さない。そんな結果を望むだろうって」
「は…はい……」
「丁度、あの妖怪の元の人を思い出して……。あの彼、私が前にいた高校の先輩だったんです。当時、2~3回私に付きまとった事があって……、その時ちょっと強めに注意した事がありました」
「そ…そうなのか!?」
「ええ、根は悪い人では無いと思うのですが、気が弱いところがありましたね。だから今回、脅しをかけてみたのです」
「それで、あんな強気な態度を!?」
「術を解かせて……予想以上に上手くいきました。あとは……」
「凛の浄化の矢で、元に戻す……と!」
「はい。この形が一番ベストな結果だと思いました」
 優里はそう言ってニコリと微笑んだ。
 話を聞いていた凛は、しきりに感心するばかり。


「ただ武術ができるだけではない。的確な状況判断、そしてそれを実行できる、強い精神力」
「改めて、優里さんの力を知りましたか?」
 帰り道、金鵄はセコと二人で語り合っていた。
「麒麟が彼女に全ての力を譲ったのも、わかる気がする」
「麒麟様が優里さんの事を一番気に入った理由は、実は他にあるんです」
「それは?」
「彼女が力を譲り受ける日でした。優里さんは麒麟様に、こう告げたのです」

「この力を受け継ぐ目的は、日本を守る事では無い……と?」
 麒麟は眉を潜めて、優里に尋ねた。
「はい、たしかに柚子村を……日本を、妖木妃の手から守る。それも大事ですが、私はこの力を、凛ちゃんのために・・。それを最優先に使わせて頂きたいと思っています」
「若三毛凛、金鵄と共に戦っている娘の事だな」
「私はあの子に返しきれない程の恩があります。もし…あの子がいなかったら、私はこの場にいなかったかもしれません」
「……」
「前の高校での私の行いが、学校や村にまで広まり転校を余儀なくされた時、私の心は完全に折れていました。
 打って変わった村人の怪訝な目、腫れ物を触るように、必要以上に気を使う両親。
 当時の私は、他人に対する不信感と自分に対する罪悪感でいっぱいでした。こんな思いをするなら、死んだほうがマシだ。そんな気にもなっていました」
「そんな……」セコが思わず呟いた。
「そんな時、唯一私に対する接し方を変えない子が、一人だけいました。
 当時、小学生だった凛ちゃんです。
 私はあの子に言いました。私と一緒にいると、他の人達から良い目で見られないよ…と。
 するとあの子は……」
「小さい頃から、おかしな子と見られているから、別に平気です。それにそんなわたしを話を、優里お姉さんはいつも真剣に聞いてくれました。
 だからわたしも、同じように優里お姉さんとお話します。
 たとえ優里お姉さんが本当に悪い事をしたとしても、わたしは最後まで優里お姉さんを信じます」
「涙が出ました……。そして私は決意しました。
 どんな事があっても、この子を自分の実の妹のように、守り抜いていく……と。
 だから私は日本を守ることよりも、妖怪と戦う……あの子を守る事を優先したい」

「優里はそこまで凛のことを……」
 セコの話を聞いて、金鵄は思わず言葉を漏らした。
「優里さんの言葉を聞いて、麒麟様はこう返されたんです」

「面白い娘だ。いいだろう、下手な正義感をかざされるより、そなたの信念の方が信じるに値する。それがしの力……、自由に使ってくれ」

「麒麟すら認めた高嶺優里……、これ以上に無い…凛の味方だ!」
 金鵄は確かな喜びを感じていた。


 その頃、凛の友人、千佳は自宅の自室で、悲しげな表情を浮かべていた。
「今日も凛に謝る事ができなかった……」
 そう呟くと携帯の裏に貼ってある、凛とのプリクラ写真を眺める。
「ウチは半月前、明らかにこの手で凛を殺そうとしていた……。なんでこんな事、今まで忘れていたっちゃろう? 凛に謝って、真意を確かめたいっちゃ……」


正規ルート 第11話へつづく


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| 妖魔狩人 若三毛凛 if | 13:06 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

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第十話 あとがき

こんにちわ。

歳をとって、孤独感を感じる老人たちの気持ちが、わかるようになってきた・・・気がする、いい歳の るりょうりに です。

さて、10話完成しました。
今月半ばから、終わりに掛けて公開予定でしたが、予想以上に早く仕上がりました。
まぁ……、集中力が半端なかった。
我ながら驚きです!ww

今回は優里の生立ち、そして妖魔狩人として妖怪と戦う決意をした理由はなにか?が主軸です。

優里は初期設定の段階から、の仲間『白い妖魔狩人』として登場させる予定でした。
そのため、初登場の時から「実は霊力を持っているのでは?」という匂いを醸し出させていたつもりですw

霊力はより少々劣るものの、武術・洞察力・統率力、それらは凛より上で、間違いなく戦いの中心になる人物。
それだけに、早く妖魔狩人として登場させたくて、ウズウズしていた節もありますね。

そんな訳で執筆も少々気合が入り、物語が通常の約2倍という長さになってしまいましたw

でも、お陰で正規ルート、BADEND共々、濃い内容になったのではないでしょうか?w


さて、そのBADENDですが。


※ネタバレあります!! 注意。


9話と10話の間で、『人形化』か『カツ丼化』か・・・、どちらがいいか?
ご意見を頂きました。


その節は、本当にありがとうございました。


ご覧になっていただけた通り、『人形化』で書かせていただきました。

今回の敵は、妖怪化したアニメ・フィギュアフェチの青年。

最初、どんな妖怪にするか? 関連する伝記妖怪を色々調べましたが、ピンとくるものが見当たらず、更に『もし、自分が生存していた女の子を人形にしたら、どういった事をするか?』と考えたら、当然妖怪よりも人間の方が思考が近いだろうと言うことで、妖怪化した人間ということに設定しました。
つまり、今回敵役である『春人』の行動は、私の思考に近いと言うことになりますねwww

それだけに、閲覧者様には引いてしまうような場面もあったかもしれません・・・が、たしか『みら!エン』を公開していた頃、 「読者に引かれるくらいが、丁度いい!」という名言(迷言)を言った記憶がありますw
その名言を信じて、「ま…いいか!」的にそのまま公開しましたw

あと今回苦労したのは、イラスト面でした。

まず、着せ替え人形化というコンセプトは決めていましたが、どんな着せ替え人形にするか?
最初のイメージでは、某有名メーカーのジェ○ーでしたw
個人的には、オリジナル着せ替え人形(アニメ等の版権キャラでない人形)の中で、一番可愛く、センスがいいな~と思っていたからです。

実は俺っち、少女フィギュア関係は一つも所持していません。
いや…マジでwww

持っているフィギュアは、仮面ライダー系(昭和)だけなんですよw

だから、今回改めて着せ替えフィギュアというものを調べてみて、「やはりイメージ的にはジェ○ーかな?」と思っていたのですが、よく見るとジェ○ーは肩と脚の付け根以外の関節は綺麗なんですよね。
つまり、関節部分が節目関節とかでなく、人形の内部に針金が入っているので、節目が無くても自在に曲げられるってヤツなんですよ。
まぁ、俺っちが着せ替え人形としてジェ○ーを気に入っている理由の一つでもあるんですが。(肌に節目が無い方が見た目がいい)
でも、絵として描く場合、関節部分に節目等が有ったほうが、ひと目見て「人形ーっ!」ってわかると思うんですよね。

そこで再度、いわゆるアクションフィギュア系の関節を持った着せ替えフィギュアを調べ直してみました。

いやいや・・・・、種類が豊富な事~豊富な事~www

サイズによっても関節部分の形状が違うし、中にはラバー系の肌を気ぐるみのように着せるタイプもあってビックリww

色々見て、「だいたいこんな感じなら、絵にした場合解りやすいかな~?」というのを見つけてみたら、今度はBADENDラストで『人形化した凛がバラバラになる』そんなシーンを書いていた!!

「この手の人形って、バラバラにしたら・・・どういう風になるんだ!?」

手元に人形が無いから、直接確認することもできないww

したがって、再々調べ直し。

色々検索したら、近いタイプのフィギュアの解体方法を載せているサイトが見つかったので、そこで各構造をチェック!!
なんとか、構造(特に関節部分)がわかりましたww


次に、よくご覧になって頂くとわかるかもしれませんが、凛にしても優里にしてもモブにしても、着色を通常より手間暇掛けて行っております。

これは人形化した際、生身の肌と無機質な肌との見分けが付きやすいように、手間を掛けてみました。
肌の質感の違い、なんとなく解ります?

更に、服の描き方にも注意しました。

通常の服は、いつも通りに描いていますが、人形化した時の服はまた少し気を使って描いています。

①ボタンやファスナー等は、大きく描いて着せ替え人形の服らしくすること。(縮小サイズのファスナーって無いでしょw)
②チェック柄やショーツのプリント部分も、大きめにする。(細かすぎる柄の生地も無いはずですから)
③ショーツのクロッチ部分を描かない(着せ替え人形のショーツには、アレ・・・付いていないでしょ?w)
④肌にピッタリフィットさせず、ダボっとした緩めの感じにする。(着せ替えしやすいように、やや大きめに作っていますよね?)
⑤部分的に、生地の質感や厚みを表現。
⑥縫い目がわかるように描いて、人形サイズの服とわかるようにする。

だいたい、こんな点を注意して描きました。


以上の事から、出来上がったイラストは、結構人形っぽいんじゃないかな~と自負しております。
(特に最後のバラバラになった凛)


今回は、色々な意味で楽しめたし、スキルもアップした気がします。
これも、閲覧者様のお陰です!

次回…11話は、以前予告した通り『カツ丼』化をBADENDにしようと思います。

また、mec様から頂いた『独楽』化というのも、いずれ挑戦したいなーと思っております。
そういった件も含め、なんか面白いアイデアやネタがありましたら、教えて頂けると幸いです

もちろん、BADENDだけでなく正規ルートのアイデアやネタも歓迎です!


では、今後もよろしくお願いいたします。

| あとがき | 12:55 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

≫ EDIT

近況報告

貧乏暇なしとはよく言ったもので、とりあえず生きていくために無理やり忙しくしてみたら、かえって時間の有り難みがわかり、時間配分がよくなったような気のする るりょうりに です。


というわけで、妖魔狩人若三毛凛 if

現在、第10話のストーリー執筆は完成しており、挿絵作画へ入っております。
挿絵は5枚を予定。

公開予定は、今月半ばから後期くらいになると思います。


第10話、簡単に予告しちゃいますと、正規ルートは前回登場した『優里』がメインとなっています。
優里が何故、妖魔狩人になることを決意したか? 彼女の生立ちは?
この辺が中心なのですが、少しだけ気合が入り、物語の長さ・・・通常の約2倍になりましたww

前編は、「前編」「中編」と二つに分ける羽目になりw
後編、「正規ルート」「BADEND」共に、通常の1.5倍の長さですwwww


あと、前回ご意見を頂いたBADENDですが、『人形化』にしております。
少しだけネタバレすれば、マネキンのような大きな人形でなく、着せ替え人形化を描いております。
いつものカニバネタと雰囲気の違うBADEND。少しだけ期待してくださいw


最近、閲覧者様の数が少し増えた事、そしてコメントが活発化してきていること。
本当に有難く感じております。

今回こんな近況報告などをやってみたのも、それらに対する感謝の気持ちみたいなものです。
出来る限り、対応させていただきたいと思っております。


また、何かありましたら報告させて頂きますね。

では~(^_^)/~

| 自己紹介 | 14:37 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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